どういうご家庭に退塾勧告や転塾を勧めるのか

 

直接私には聞きづらいことだと思いますので、ここでお伝えておきます。

 

ほぼ以下の2家庭です。

 

1.子どもに能力以上の結果を求めすぎるご家庭

2.子どもへの不安や心配を抑えられないご家庭

 

です。

 

それぞれ具体的に説明していきます。

 

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参考:塾規約

 

◆第15条 〈退塾勧告について〉

 

当塾は、ご家庭が以下のいずれかの項目に該当する場合、ご家庭に対し退塾勧告をいたします。

 

8.保護者が講師に対し、講師が塾生の能力以上だと判断する要望を繰り返し、講師が保護者と信頼関係を維持できないと判断した場合

 

9.保護者が、塾からのお願いや塾の指導理念と反する接し方を、ご家庭で塾生に繰り返し、講師が保護者と信頼関係を維持できないと判断した場合(塾生の言動と行動で判断)

 

 

 

 

1.子どもに能力以上の結果を求めすぎるご家庭

 

中学受験で並木や茗渓以上のレベルを希望、あるいは高校受験で竹園高校以上、大学受験は筑波大学以上に合格してほしいと考えているご家庭は、上の表に書かれている内容の「100%実践」を目指してください。なぜなら、書かれている内容は、トップ校に合格するような成績上位のご家庭の子どもへの接し方だからです。

 

各ご家庭事情があると思うので、実践できないこともあると思います。それは仕方ありません。

 

そのときの考え方として、「大人ができないのであれば、子どもに求めない。子どもに求めるのであれば、大人が見本となる」であるべきだと思います。

 

ご家族が最大限努力して出たお子様の結果であれば、仮に望んだ結果でなくても、それがベストの結果だと受け止めることは必要です。上を見たらきりがありません。

  

それでも、子どもへの愛や期待ゆえ、望んでしまうことは理解できます。私としても、悩んでいる保護者様の話を聞くと、「何とかしたい、力になりたい」と思います。

 

しかし、「空を飛ばせたいのに、飛べないんです!」「飛べない子を怒ってしまいます」「どうしたら飛べるようになりますか?」みたいな悩みは、塾では(というかどこの誰でも)解決できません。 

  

そのどうにもならない思いを、「なぜ塾なのに空を飛ばせることができないんですか?」とぶつけてくるご家庭が過去にありました。私も人間なので負の感情がありますし、心も削られます。

 

「当塾ではそのご要望を叶える力がありませんので、他塾をお探しください」と言うしかありません。 

 

 

  

2.子どもへの不安や心配を抑えられないご家庭

 

私がご家庭にお願いするのは、塾がお伝えしている情報の実践です。ただ読むだけではなくて、「実践」です。 

 

子どもから求められてないのに、学習面での手出し口出しがやめられないご家庭は(いわゆる過干渉)、こちらから転塾を勧める場合があります。 当塾の方針と真逆の教育のため、アクセル・ブレーキの関係になり、お子様が能動的に勉強しなくなるためです。

 

「お子様の勉強を親も確認・管理したい、親も教えたい」というお考えは否定しません。これは教育方針や価値観の問題なので、当塾ではなく、親に協力を求める塾のほうに転塾したほうがお子様が伸びるはずです。

 

入塾した後に、自分には感情を抑えるのが厳しかったというご家庭は遠慮なく申し出てください。価値観が合わない塾にいても、時間もお金も無駄になり、誰も幸福にならないですから、早めに離れましょう。

 

 


 

当塾は「自分から勉強するようになる」というキャッチコピーなのですが、親御さんが手出し口出しをやめられないと、自分から勉強するようになりませんということは、ここで断言しておきます。

 

中学校のテストで高得点を取るためには、以上の画像のようなレベルの勉強を「自発的に」することが求められます。小学校時代に手出し口出しで受け身に育った子は、残念ながらこの時間の勉強の負荷をかけることを嫌がります。

 

当塾は強制的な勉強を求めない指導理念(結果として子どものためにならないという考え)なので、強制されないと勉強できないお子様の成績を上げるのは、難しいです。そういう子の場合、強制力のある塾のほうが成績アップの可能性があります。ですから厳しい塾への転塾をお勧めするというわけです。

 

親御さんのお子様への心配や不安のコントロールが難しいと感じられる場合、塾ではなく家庭教師をお勧めしています。家庭教師でしたら、毎回相談にのってくれますし、親御さんのお考え通りに勉強させてくれます。親御さんの精神を安定させることも、お子様の成績に大きく影響しますので、家庭教師のほうが成績が上がる可能性があります。

 

転塾したほうがいいかは、お子様の行動と言動で判断できますので、取り返しがつかなくならないよう、小6の時点でお伝えします。 

 

 

【参考】トップ校に合格するご家庭の幼少期の教育

 

上は、子ども4人全員を東大に合格させた佐藤ママの本の目次です。

 

このように、0歳から18歳の大学入学までの限られた18年間にフルコミット。全力でサポートするため、 「お金」も「時間」も惜しまなかったとのことです。普通の家庭がマネをするのは不可能なレベルです。

  

子どもを中学受験や高校のトップ校に合格させている世のご家庭も、早期から徹底した教育を行っています(学力は遺伝するため、両親のとちらかが高学歴であることは、ほぼ前提条件)。嫉妬されるのを避けるため、みんな隠しています(マウントをとる人もいますが…)。

 

どういう進路を選択するのかは自由ですが、親の教育も、子どもの勉強も「蓄積」がものをいいます。もし蓄積がなかった場合、「子どもがトップ校を目指して本当に幸せになるのか?」を現実的にお考えください。

  

トップ校は幼少期から努力を続け、中学校で450点以上を取り続けるような生徒が、合格者の半分を占めます。すでに中学入学時点で、トップ校の席の半分は、ほぼ彼らで埋まっていると考えていただくと分かりやすいと思います。

 

彼らと同じ時間の努力をしたとしても、追いつけません。なぜなら彼らも同様に努力を続けるからです。1時間あたりの勉強効率も非常に高いですから、学力はどんどん離されます。追いつくためには、今すぐ習い事や部活をやめ、起きている時間の全てを勉強に充てるくらいの努力をする必要があります。

 

残り半分の席を獲得できるのは、中学入学後それくらいの努力をしてきた子です。 

 

 

トップ校に合格した後に待っている現実

仮になんとか450点に届き、トップ校にギリギリ合格したとします。喜んではいられません。

 

狭き門をくぐり抜けた後に、待っているのはさらなる地獄です。入学後に、トップレベルの子だけが集まった学校で戦うことになるからです。劣等感を抱え続ける苦しい3年間になることは想像できると思います。

  

・エリート集団の中で、必死に努力してくらいついていく

・実力より余裕のある学校に入り、成績上位をキープする

  

分かりやすい2択ですが、どちらが幸せでしょうか?幸福度は後者が当然高いです。 前者の人を選んでしまう人が世の中かなり多いです。

 

前者のようにできれば理想ですが、実際は少数です。ほとんどが挫折し、それまでの自信や自己肯定感が失われていきます。後者は油断さえしなければ、自信や自己肯定感を高めながら、トップ大学への指定校推薦がもらえる可能性すらあります。

 

 

親が変われば子どもは変わる

  

 

決してトップを目指すことを否定しているわけではありません。トップ校を目指させるご家庭は、この位の覚悟や努力が必要という事実を受け止めてほしいということです。

 

お子様に生まれつき学力に難がある場合も同様に、能力以上を求めるケースが見られます。私は魔法使いではありません。できないことはできません。

 

子どもは将来を見通せません。我々は大人としての判断が求められます。その選択が子どもにとって幸せなのかを現実的に考えなければ、子どもを不幸にしてしまう可能性があります。

 

ここまで読んでいただいた方は、子どもの態度で退塾勧告や転塾を勧めるのではなく、親の態度だということがお分かりいただけたと思います。なぜなら親御さんが変われば、子どもが変わるのは分かっているからです。

 

逆を言うと、親が変わらないと子どもは変わらないので、変わらない親だと判断した場合に退塾勧告や転塾を勧めるのです。厳しい話で大変申し訳ございません。結果にはあらゆる原因がありますので、もちろん全てが親のせいというつもりはありません。

 

価値観が多様化した時代に勉強ができるからといって、幸せになるとは限りません。遊ぶことも習い事も趣味も家族の時間も大事なはずです。「親の欲や希望」よりも、一番大事な「子どもの幸せ」という観点でも進路をお考えいただき、暖かくお付き合いしていただけますと幸いです。