退塾を伝えるときにお願いしたいこと

 ↑この10年間で、このLINEで退塾を申し出たご家庭がありました。あなたが塾の運営者だったら、数年間関わってきたご家庭が、LINE一本で関係を終わらせようとしてきたら、どう感じますか?

 

 

 

辞め方1つで、子どもの人生に影響します

冒頭のLINEは親子喧嘩の末に、感情的になった親が一方的に送ってきたものです。数年間の関わりを親の感情1つで、いきなり断ち切られました。

 

極端な例ではありますが、これに近い辞め方をされるご家庭が、今まで複数ありました。この辞め方は、お子様の教育的によくないと毎回思っています。

 

当塾は、「毎日」「先生1人で」「同じ生徒と接する」というシステムの塾です。毎回来た生徒と1:1で何かしらの会話をします。

 

毎日同じ時間を過ごしてきたので、我が子や兄弟姉妹のように(言いすぎかもしれませんが)、1人1人の生徒とかなり深い信頼関係を築いていると思っています。

 

ちょっと話は脱線しますが、あなたは学生時代の先生って記憶に強く残っていませんか?

 

私は今でも、保育園・小中高大の先生はもちろん、学研・公文の先生、習字の先生、スポーツクラブの先生も、鮮明に思い出すことができます。 

 

それくらい先生って人間の記憶に残ります。

 

ですから、私とお子様とのストーリーが、きれいな終わり方で完結できるよう、退塾の仕方にはご配慮いただきたいんです。 

 

お子様がせっかく先生との絆を深め、頑張って塾で努力してきたのに、最終回が悲しいものだとしたら…

 

塾だけに限りませんが、人と人とのサービスでは、終わり方が強烈に子どもの記憶に刻まれます。その記憶を背負って子どもは、生きていくことになります。 

 

 

退塾を伝えるときにお願いしたいこと

 

1.そもそも結論を出す前にご相談いただきたいです

2.退塾のご連絡は、お電話でお願いしたいです

 

お願いしたいことはこの2点のみなのですが、以下で他の話も交えながら、詳しくご説明させてください。

 

 

1.結論を出す前にご相談いただきたいです

この相談というのは、引き止めるためではありません。

 

退塾を検討する場合、家族会議を開くと思うのですが、会議で出た結論が、根本的な解決になっていない場合が多いのです。

 

病院を受診する想像をしてほしいのですが、「うちの子は○○という症状だから、○○という治療方針の○○病院へ行こう」。

 

この文章の後半、「○○という治療方針の○○病院」これは理解できます。

 

問題は前半です。「うちの子は○○という症状」。本当にこの判断に自信が持てますか?

 

今まで私にご相談いただいたときに、「それは○○ではなくて、根本原因は○○です」と、考えていなかった原因を言われたことがあるご家庭も多いはずです。

 

自分で言うのも気が引けますが、プロは様々なご家庭を見てきているので、経験上見えている景色が違います。

 

こちらの考えを押し付けるつもりはありませんが、明らかに幸福にならない選択をしそうであれば、事前のご相談でアドバイスをすることもできます。

 

保護者様が、原因分析を間違うと、どこの塾に行こうと結果は変わりません。それどころか悪化する可能性も大きいです。  

 

 

 

子ども時代の親の判断ミス・教育ミスはやり直せません。だからこそ、事前にご相談いただきたいのです。

 

退塾しなくても

 

・一定期間休塾する

・学習内容を変更する

・勉強時間を増やすか減らす

・いったん自習に変更して様子を見る 

 

など当塾のシステムで解決できることも多々あります。

 

今まで何年間も付き合ってくださっている方でしたら、私が塾の利益だけを考えてアドバイスしないことはご理解いただいているはずです。

 

「大手塾の方がいいと思いますよ。」

「家庭教師の方がいいと思いますよ。」

「公文や学研のほうがいいと思いますよ。」

「先生は女性のほうがいいと思いますよ。」

「友達が多い塾のほうがいいと思いますよ。」

「今の状態でしたら塾に通っても、お金と時間の無駄になると思いますよ。」

 

これらの言葉を私の口から聞いたことがある方も少なくないと思います(塾の利益だけを考えていたら、経営者が絶対に言わない言葉ですよね)。

 

塾の不利益になることをなぜ伝えるのかと言うと、関わったご家庭に幸せになってほしいからです。

 

 

退塾がお子様の学習にとってマイナスになる2点

1.してきた学習が無駄になる可能性がある

 

基本的に小学校の勉強内容は、当塾が推奨している先取り学習と、学校の課題をしっかりこなせば、困ることはありません(そもそもやる気がない場合、学校の課題をやっていない場合、学習能力に難がある場合を除く)。

 

小学校の勉強がつまづかなくなったご家庭も少なくないと思いますが、事前にそこをつぶしているからなのです。

 

つまづかなくなったことで、なかなか気づいてもらえなかったり、できたところよりもできなかったところに目が入ってしまうのが悲しいところですが。

 

教育は長い目で考えることが大事ですので、当塾の勉強内容は、高校受験から逆算して考えています。

  

すぐに使わない内容を勉強しているタイミングで辞められてしまうと、退塾前の数か月でやってきたことが、ほとんど意味がなくなってしまいます。使わないことは忘れてしまうためです。

 

もし数か月前に退塾することが分かっていたら、一番効果的な勉強内容に切り替え、退塾してもマイナスにならないように調整することができます。 

 

 

2.新規塾生をお迎えするのに、短くて1か月、長くて2か月かかるため

 

これはこちらの都合でもあるのですが、塾の学習環境の質を保つために、塾生は選ばせていただいています。

 

そのため新規塾生をお迎えするのに、短くて1か月、長くて2か月かけます。ですので、退塾を申し出てから、退塾日までタイムラグがあるような規約とさせていただいています。

 

退塾連絡をいただいた後は、通わないというご家庭もありますが、もったいないので通っていただいて全然大丈夫です。

 

ただ、私は機械ではなく人間です。

 

退塾の伝え方が気分の悪いものだった場合でも、もちろん今までと同じ対応をしますが、「今までと同じ気持ちで…」というのは正直難しいです。 

  

お子様が1、2か月通塾を継続する場合、お互いに非常に気まずい状態になるのは、ご想像いただけると思います。

 

そうならないために事前のご相談をいただきたいのです。

 

 

他塾への転塾について

ここではあえて、私に言いづらい内容を書いていきます。

 

1.他塾を体験したい

 

人間ですから、塾の成果が保護者様の期待通りでない場合、期待通りの成果にしてくれる他塾があるかも…と思いますよね。

 

例えばあなたが独身で恋人がいるとします。その恋人から、「ちょっと気になる人がいて、お試しで付き合ってみたいと思うんだ。あまり相性がよくなかったら、戻ってくるね。お試しだからいいでしょ?」と言われたらどう思いますか?

 

塾の先生にとって、他塾へ体験に行かれるというのは、このような気持ちになります。

 

ちなみに、私に気を使って、こっそり他塾の体験に行かれる方がいるのですが、大体バレています笑。

 

・不自然な休みが増える

・子どもの挙動がおかしくなる

・親がどんなに口止めしていても、子どもは私に言ってしまう

などが理由です。

 

結局、転塾されないことがほとんどですが、複雑な気持ちにはなります。隣の芝生が青く見える気持ちも理解できるので、何も言いませんが。

 

 

2.転塾すれば成績は上がるのか? 

 

当塾は自立型の塾なので、方針が真逆である強制的に勉強させるスパルタ塾に転塾すれば、成績が上がる可能性はあります(幸福度は、間違いなく下がると思いますが)。

 

それ以外の塾でしたら、お子様が変わる可能性は低いです(もちろん転塾すると一時的には変化しますが、すぐに慣れ、もとに戻ります)。

 

転塾のことが頭をよぎった場合は、そもそも成績に関する理解の確認をしていただきたいです。詳しくはこちら(  「塾に通っているのに成績が上がらない」の勘違い)。

 

当塾でキャンセル待ちをしていただいているご家庭から、「入塾までの間のつなぎとして、先生がお勧めする塾はありませんか?」とよく聞かれるのですが、本当に思いつかないです。

 

なぜなら他の塾でできていないことを、全てやっているのが当塾だからです。自分の塾が1番だと思って運営しています。

 

(余談ですが、一般の塾でも、ウチと同じ方針にしたほうが成果が出るのは分かっていますが、経営的に絶対にできません。 ※減税と同じです。減税すれば国の支出が増え、経済が豊かになるのは、中学校の公民の教科書に載っているくらい、経済学で当たり前の話ですし、すでに現実社会で結果が出ています。日本国は、権力者の利権を優先する国なので、国民が不幸になっても絶対減税はしませんよね。むしろ増税路線です悲)。

 

 

 

3.柏倉への伝え方

 

「○○のようになってほしいのですが、今何が足りないですか?」みたいな聞き方をしていただけると嬉しいです(○○=大谷翔平とかはやめてください笑)。

 

その流れで退塾や転塾の話をスムーズに出していただくと(話し方が上手い方であれば、間接的な話から、私が察するようにもっていってください笑。勘はいい方だと思うので)、適切なアドバイスを差し上げることができます。

 

ちなみに、こちらから伝える場合もあります。当塾では高校受験で合格したら、1.卒塾する、2.高校入学まで自習生になる(高校入学後も可)、3.高校内容の先取りをする、などのお考えを、私から高校受験前にうかがいます。

 

卒塾し勉強しなくなると、一気に学力が下がるので、2,3をおすすめしています。合格後も合格した高校から課題は出されますし、高校入学前にクラス分けテストがあったりもするので、勉強の継続は必須です。

 

 

2.退塾のご連絡はお電話でお願いしたいです

 

退塾連絡をLINEで伝えてくる方がいますが、お電話でお願いしたいです。

 

色々な考えがあると思いますが、LINEという「楽で軽い伝達手段」を使ったというだけで、個人的には残念な気持ちになります。どんな丁寧な言葉で感謝をつづっていたとしてもです。

 

LINEは非常に便利な伝達手段ですが、文章には感情がのらないため、考えを100%伝えるのは困難です。

 

私はご家庭にとって、耳が痛いことを伝えるのも仕事です。だから私に電話で退塾の話はしづらいのも理解しています。

 

退塾を伝えるというプレッシャーですよね。聞く方も気分のいいものではないです。だからこそ、お互いのために、事前のご相談をいただきたいのです。

 

結論を出す前の事前のご相談でしたら、お電話でお互い気分を悪くすることなく退塾を含めたお話ができます。保護者様が考えていなかった、よりよい選択肢が見つかもしれません。

  

 

「人と人」として

以前、他の習い事や塾の先生と、「生徒の辞め方」に関してお話したことがあります。ここに書いている内容と、同じ気持ちの方が多かったです。

 

習い事の退会を申し出たら、お子様が指導者から雑な扱われ方をされた、というお話もよく聞きます。指導者にも問題がありますが、不義理だと思わせない辞め方をするのも大事ですよね。

 

退塾・卒塾したからといって、永遠に会わないわけではありません。同じつくば市に住んでいたら、イーアスとかで会うかもしれません。

 

卒塾後も、私と連絡を取り合っているご家庭や生徒も普通にいます。

  

まとめると、「事前にお電話でご相談ください」の一言です。後は、円満退塾になるように持っていきます。

 

最後のときまで、お子様のことを第一に考えて、「人と人」として、お互い敬意をもって接していけると嬉しいです。こんな偉そうなことを書いている私も、まだまだ人として未熟ですので、もっと精進していきます。

 

ご理解よろしくお願いいたします。